制御盤に欠かせない基本的な部品、リレーについて書こうと思います。
たくさん種類がありますが、一番扱いやすいオムロン製MYシリーズを使って説明します。
リレーってこんな部品
見た目はこんな部品です。正面と側面と裏面で並べてみました。このリレーはコイル電源がDC24Vのタイプです。オムロンのMYリレーは側面から見えているコイル部分の色でDC電源(青)なのかAC電源(赤)なのかわかるようになっています。
リレーの動き
リレーについて説明しようと思います。
リレーはコイル電源に電気を流すとコイルが電磁石になり、磁力の力で接点部分を動かしてスイッチをON/OFFさせる部品です。下の写真のリレーは接点が2セット(2P)あるリレーです。2つある接点はコイルが共通なので同じ動きをします。
写真の青丸がコイル電源です。
接点は黄色と赤がくっついています。
コイル電源を流す前は回路の方は黄色から赤に回路がつながっている状態です。
⇒は接点の動く方向を表しています。まだコイル電源を入れていないので接点は動きません。
注意:リレーのコイルと接点は回路的につながっていません。
コイルに電気を流すと回路の方で赤い所につながっていた接点が⇒の方向に動き緑の方にくっつきます。
こんどは黄色から緑に回路がつながるようになります。
注意:リレーのコイルと接点は回路的につながっていません。
- コイル電源を入れる前はつながっていて、コイル電源を入れると離れる接点をb接点といいます。
- コイル電源を入れる前は離れていて、コイル電源を入れるとつながる接点をa接点といいます。
- a接点、b接点の両方とつながっている黄色の回路を共通といいます。
- そしてこのリレーのようにa接点、b接点の両方とれる接点をc接点といいます。
- このリレーはc接点が二つある2Pのリレーです。
オムロンのMYシリーズには接点が4セットある4Pリレーもあります。
リレーの使い方
ソケット
リレーをどのように使うのかを説明します。リレーには本体に電線をつなぎやすくするソケットが用意されています。下の写真のようにソケットにリレーを付けることで電線がつなぎやすくなります。
ソケットのねじ端子の部分に電線をつなぐことで簡単にリレーにつながるようになってます。
各ねじ端子に同じように色を付けてみました。
青丸がリレー電源につながっています。
それぞれ黄色がリレーの共通に、緑がリレーのa接点、赤がリレーのb接点につながっています。
そして紫で囲った部分がそれぞれセットのc接点になっています。
リレーを使う理由は主に以下になります。
小さな電気で大きな電気をON/OFFできる。
AC電源(交流電源)で動くモーターをスイッチでON/OFFさせるとします。
モーターなどの大きな電気を使う装置に、スイッチを付けてON/OFFすると指で押すスイッチ内部にも大きい電気が流れます。
もしスイッチが壊れて電気が漏れてしまっていると、指でスイッチを触ると大変危険です。
そこでリレーを使います。図ではコイルがDC電源(直流電源)のリレーを使います。指で押すスイッチの代わりにリレーの接点が、大きい電気の流れるスイッチの役割をしてくれます。
指で押すスイッチにはリレーコイルの電気が流れますが、リレーを動かす電気はDC24Vなどの数十mA(ミリアンペア)程度なので、たとえスイッチが壊れても安心です。
一つの信号を増やすことができる
接点が1つしかない指で押すスイッチは出力信号を1つしか出せません。
でも図のように2Pのリレーを使えば一つの信号を二つに増やすことができます。4Pのリレーを使えば4つに、並列にリレーを並べていけばその数だけ増やすことができます。
2Pで2セットある接点の片方はAC回路、もう片方がDC回路といった使い方もできます。
そして片方はa接点、もう片方はb接点や、c接点で使うなど使い方次第で様々な回路を作ることもできます。
他の装置と信号のやり取り
他の装置や機械、他の制御盤と簡単な信号のやり取りをするときにはリレーを使います。
よく指定されるのが、「無電圧リレー出力で信号をください。」と相手先から指定されます。
そんなときはPLCの出力から直接相手先の機械に信号を出さずに、上で説明した方法でリレーで信号を出すようにしています。
PLCがトランジスタ出力(トランジスタはまた別記事で説明します。)のときはもちろんですが、PLCがリレー出力だったとしても、別にリレーを追加して相手に信号を渡すようにしています。
人の体を守るためと同じ考えで制御盤の指示役のPLCを守るためにも他の装置と信号のやり取りをするときはPLCとの間にリレーを使います。
PLCとはプログラマブル・ロジック・コントローラーと言って簡単なプログラミングで複雑な入出力が操作できる装置です。リレー回路では複雑になる回路もPLCなら簡単に出来てしまいます。
ちなみに三菱電機製のPLCをシーケンサと呼びます。
リレーのまとめ
まとめるとリレーは以下のことができます。
- 小さな電気で大きな電気をON/OFFできる。
- 一つの信号を増やすことができる。
- 他の装置と信号のやり取りに使う。
最後に配線例の写真を載せます。まず下の写真は電源だけつないだリレーです。
下の写真は順に上からの全体写真、電源と共通側、a接点b接点側の写真です。
- 300番の線と301番の線が200V回路でa接点、
- 100番の線と101番、102番の線がDC24V回路のc接点(100番と101番でa接点、100番と102番でb接点)
今回はオムロン製のリレーを使いましたが他にもIDEC製や富士電機製のリレーもあります。
「小さなバン屋」では取引先との関係でリレーはほとんどオムロン製を使いますが、IDEC製も富士電機製も信頼できるメーカーのリレーなので安心して使えると思います。メーカー勤務の時はIDEC製も富士電機製も使っていました。
前はパナソニックにもリレーがありましたが、今は生産終了しています。値段もオムロン製の半分近くと安く、パナソニックということもあり使っていた時期がありました。
ただやはり、オムロン、IDEC、富士電機の3社に比べると使用用途により、あまり長持ちしなかったように感じます。
この小さな単純な機構の機械ですが、それぞれ大手メーカーの競争があり、技術の詰まったすごい製品なのだと感じました。
皆さんの参考になれば幸いです。
最後に、このブログを書いている人
小さな盤屋を一人で細々と営みながら一人でゆる~くロードバイクを楽しんでいます。
一人ぼっちでロードバイクを始めても楽しめることを皆さんに伝えるためにこのブログをやっています!
就職氷河期世代ですが、なんとか設備メーカーに就職し、いろいろありまして5年ほど前から一人で頑張っています。
このブログが皆さんのお役に立てれば幸いです!!