シーケンサの使い方を覚えれば、制御盤を作るのが非常に楽に早く作れるようになります。
そこで三菱電機のPLCであるシーケンサ(リレー出力)の基本的な使い方を説明しようと思います。
今回は三菱電機製シーケンサFX3s-14MR/ESを使って入力、出力などの説明と基本的な配線方法を説明いたします。

FX3s-14MR/ESは現行品のシーケンサの中でも一番小さいFX3シリーズの中の一番シンプルな3sタイプで、入出力が14点(入力8点、出力6点)、出力がリレー出力、電源がAC100ー240のタイプです。
シーケンサの役割(シーケンサでできること)
シーケンサとは三菱電機のPLCの事をいいます。
PLCとはプログラマブル・ロジック・コントローラの略で、内部のプログラムによって、いろいろな制御ができる装置です。
簡単に言うとリレーなんかで制御盤を組むと、リレーをいっぱい使っていっぱい配線をして、とても組むのが大変な制御盤になります。
しかしシーケンサを使うと内部プログラムがリレー回路の大部分の代わりをしてくれるので、非常にシンプルで簡単な制御盤になります。
シーケンサでできること
- リレーの代わりに、簡単に入出力の回路を組める。
とりあえず最初はこれだけを理解して頂けたらいいと思います。もっと詳しくいうと、
- 内部プログラムで数字を扱える。
- 高速パルスでエンコーダの数字を読み取れる。
- 増設キットなどで、アナログ入出力を扱える。
- CC-LinkやEthernetで他の機器と通信できる。
- サーボモータのコントローラと組み合わせてサーボモータの制御ができる。
- GOT(グラフィックオペレーションターミナル)と組み合わせてタッチパネルのシステムを構築できる。
アナログ入出力やサーボモータなどは上位機種のシーケンサのQシリーズやiQシリーズを使った方が楽に制御盤を作れると思います。
とりあえず最初は「リレーの代わりに、簡単に入出力の回路を組める」から始めましょう。
シーケンサってこんな部品
今回は三菱電機製シーケンサFX3s-14MR/ESを使います。こんな部品です。
上下の入出力端子のカバーをあけると端子が並んでいます。写真では少し見にくいので図面に端子の絵を落とし込んでみました。


シーケンサは小さなコンピュータにリレー出力などが付いた物と考えてもいいと思います。
リレーのような役割をするけど計算や通信もできる。モーターや工場などの自動化に特化したコンピュータです。
シーケンサの配線
端子の種類
上側が電源、アース、シンク・ソース端子、入力端子です。

下側が24V電源、0V端子、と各出力端子になっています。
各端子の役割
各端子の役割を説明します。
まずは上側から
- アース端子・・・制御盤の箱のアース端子につないでアースをとります。
- 電源端子・・・・AC100ー240Vの範囲内の電源をつなぎます。
- シンク・ソース端子・・・日本ではシンクで使うことが多いのでこの端子にDC24Vのプラス側をつなぎます。
- 入力端子・・・・各スイッチなどをつなぎます。
次に下側
- 24V電源端子・・・DC24V電源が取れます。(最大400mA)
- 0V端子・・・シンク配線の場合、入力端子につないだスイッチなどの共通線をつなぐ端子です。24V電源端子と0V端子でDC24Vの電源が取れます。
- 出力端子・・・各リレー出力の端子です。
配線
電源
シーケンサの電源はよく写真のように捻じって配線します。
これは捻じることでノイズを軽減する効果があるからです。
もちろんノイズフィルタを電源の上に入れることも大事です。
ノイズ対策は何重にもして欲しいという依頼もありますが、逆に全く不要という方もいらっしゃいます。
しかし制御盤がどんな機械や装置と電源を共有しているか分からないので、ノイズ対策はしておいて間違いはないと思います。

入力
入力側の配線は画像のように配線します。
まずDC24V端子の「24V」と、シンク・ソース端子の「S/S」とをつなぎます。
これはシンク配線で使用するためです。
画像は入力端子「X0」と「0V」間にスイッチを接続した絵になります。
これでスイッチを押すと入力「X0」と「0V」とがつながり、「X0」に信号が入ることになります。
他の入力端子「X1」から「X7」も同様に「0V」間でスイッチをつなぐことで信号を入れることができます。

出力
出力の配線例の画像です。
この画像ではシーケンサの出力「Y0」にランプ、「Y4」「Y5」に開閉器をつないでいます。

「リレー出力Y0」の説明(電源電圧DC24Vのランプをつなぐ)
端子「COM0」と端子「Y0」につなぐことで「リレー出力Y0(紫線の部分)」につなぐことができます。
DC24Vのランプの電源をシーケンサの「24V端子」と「0V端子」からとるのですが、「0V端子」をランプに直接つながずに一度、端子「COM0」につなぎ、端子「Y0」をランプにつなぐことで、「リレー出力Y0(紫線の部分)」を通るように配線できます。
こうすることで内部プログラムを使って「リレー出力Y0」を動かしてランプを点灯させたり消灯や点滅させることができるようになります。
「リレー出力Y4、Y5」の説明(コイル電源電圧AC200Vの開閉器をそれぞれつなぐ)
端子「COM2」と端子「Y4」につなぐことで「リレー出力Y4(茶線の部分)」につなぐことができます。
端子「COM2」と端子「Y5」につなぐことで「リレー出力Y5(茶線の部分)」につなぐことができます。
コイル電源AC200Vの2つの開閉器の電源を一次ブレーカなどの下のR相とS相からとります。このときR相を開閉器に直接つながずに、端子「COM2」につなぎます。そしてそれぞれ開閉器1と端子「Y5」、開閉器2を端子「Y4」につなぎ、S相はそれぞれの開閉器に直接つなぎます。
こうすることで内部プログラムを使って「リレー出力Y4」を動かして開閉器2をON,OFFさせることができるようになり、同様に「リレー出力Y5」を動かして開閉器1をON,OFFさせることができるようになります。
ここで注意したいのが、「リレー出力Y2、Y3、Y4、Y5」は端子「COM2」が共通コモンになっている点です。
「リレー出力Y2、Y3、Y4、Y5」は同じ電圧の接点として使わないといけません。
できない配線の例、
「リレー出力Y2、Y3」はAC100Vのランプ、「リレー出力Y4」はAC200Vの電磁開閉器、「リレー出力Y5」はDC24Vのタイマ・・・・・・これは電圧がバラバラなので配線できません!!
できる配線の例、
「リレー出力Y2」はDC24Vのランプ、「リレー出力Y3、Y4」はDC24Vの電磁開閉器、「リレー出力Y5」はDC24Vのタイマ・・・・・これは電圧がDC24Vですべて一緒なので配線できます!!

FXシリーズはシーケンサの入出力の大きさによって出力の組み合わせが違ってくるので、シーケンサの選定をするときはカタログをよくみて選定してください。
シーケンサ正面のランプ類
シーケンサの正面のランプの説明をします。
IN(入力のランプ)・・・それぞれ入力につながっているスイッチやセンサーの状況が確認できます。
例:X0のスイッチがONすると入力の0番ランプが赤に点灯します。
POW・・・通電状態で緑点灯
RUN・・・運転中は緑点灯
ERR・・・プログラムエラーで赤点滅、UPUエラーで赤点灯
OUT(出力のランプ)・・・それぞれ出力の状況が確認できます。
例:Y3を出力しているときは出力の3番ランプが点灯します。

入力側はランプの下側の数字が番号で、出力側はランプの上側の数字が番号になります。
これがとても見にくく、電話などでお客様にランプを見てもらうと、たいていの方が入力側のランプの番号を見間違えてしまいます。
一つ前のFX1sタイプだと数字が光るので見やすかったので、戻してもらいたいですね。
まとめ
今回は三菱電機シーケンサFX3sを使って簡単な端子の説明や配線の方法を説明してみました。
慣れてしまえば簡単な配線ですが、最初のころは意味が理解できるまで苦労すると思います。
でもシーケンサを使えるようになると、リレーを使って組むより何倍も速く楽に制御盤を組めるので、制御盤を作るうえで絶対に避けて通れない部品と思います。
今後はプログラムについても書こうと思います。
制御盤を作るのに資格は必要ないですが、電気工事士を持っているのと持っていないのとでは知識はもちろん、周囲からの信頼も違います。制御盤や電気に興味を持っている方は、最初のステップとして電気工事士を取得してみてはいかがですか?
特に技能試験は何を準備したらいいのか、どこまで工具や材料をそろえたらいいか費用などで悩むと思います。電池屋ネットショップなら必要なものを簡単に揃えることができます!
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最後に、このブログを書いている人

小さな盤屋を一人で細々と営みながら一人でゆる~くロードバイクを楽しんでいます。
一人ぼっちでロードバイクを始めても楽しめることを皆さんに伝えるためにこのブログをやっています!
就職氷河期世代ですが、なんとか設備メーカーに就職し、いろいろありまして5年ほど前から一人で頑張っています。
このブログが皆さんのお役に立てれば幸いです!!